プログレスの困りごと01
夏井(中学受験専門夏井算数塾代表):今回なんですが、PROGRESS IN ENGLISH、英語の教科書ですけども、巷でこの教科書については色々言われている事があるなというので、それを一つ一つプロでいらっしゃる甲田先生に叩き潰して頂こうというお話でございます。
という訳で順番にお話をさせて頂きますが、一般的に言われている事ですので
実際に合っている、合っていないというのも当然あると思います。
まず一点目が、PROGRESSだと授業の進度が早くなり過ぎてやばい、みたいな話がありますが、それはどうですか?
甲田(英語教室サポート 代表):そうですね、このレッスン一つあたり、あるいはシーン一つあたりの情報量、あるいは練習問題の量が普通の教科書に比べると多いです。
したがって、例えば一つの単元をいわゆる検定教科書と同じペースで、でもPROGRESSの中身を全部使ってやっていこうとすると、どうしても早くなってしまいます。
なので、そこは先生方によっては取捨選択をなさっている先生もいらっしゃいます。
取捨選択の余地とかあるのかな、と思います。
ただ、その学校さんによってカリキュラムを決めていらっしゃる方がどなた、というのがあります。
例えば、先生自体は取捨選択したいんだけどカリキュラムを決めてらっしゃる方から、いや、全部扱わなきゃダメだ、と言われることがあります。
なんか凄い理不尽に聞こえますが、決めてらっしゃる方は今度親御さんから、なんで全部扱わないだ、とクレームが来た場合に対処するのは俺だ、とか色んな人間関係、しがらみがあるようで中々それでうまくいかない所もあるようです。
私としては、生徒さんにとって早くなるなら取捨選択はすべきなんじゃないかなと思っています。
夏井:なるほど。
ちなみに取捨選択をした事によって、いわゆる学習内容の網羅性、要は全部の事をちゃんと学習出来るかどうかというのはどれぐらい影響がありますか?
甲田:取捨選択の仕方によって影響があるないが出てきます。
例えば、こちらのPROGRESSの中のPRACTICEのいくつかあるうちの一つしかやらないとか、片方だけやらないとかです。
これもうまく選択なさる方だとうまくいきますが、そこの選択を失敗すると、あ、この練習をしてなかった、みたいになる事があります。
逆にそういったPRACTICEごとに、例えばPRACTICE1が1から10まであると、じゃあ1か5までにしとこうとか、奇数番だけにしとこうとか、あるいは教師の方で1から10まで見て、この中の例えば1番と3番、4番、5番、8番、9番みたいにやれば網羅出来るぞ、とかになります。
そういう選択もあると思います。
学校の先生方は中々そういう選択をしている時間がお忙しくてない方もいらっしゃるようですが、
そういう選択をする時間があればうまくいくんじゃないかなとは思います。
プログレスは単語が多すぎて覚えられない
夏井:なるほど、ありがとうございます。じゃあ次のお話です。
これも他の教科書と比べてというお話だと思うんですが、単語が多過ぎて覚えきれない、みたいな
悲鳴にも似た叫びがあるそうなんですが、これについてはどうでしょうか?
甲田:それについては2点お話ししたいと思います。
まずは、検定教科書と比べると確かに単語が多いです。
PROGRESSというのは、そもそもロバート・フリンという方が日本の中でもかなり大学進学実績の高い中学高校で教えていらっしゃる時に、ちょっと普通の教科書では優しいからと言ってプリントとしてお作りになったものがベースになっています。
したがって元々上位の方向けなので、そこはしょうがない部分があるかと思います。
なので、私も今まで名前は絶対出せないですが、ちょっとこの学校でPROGRESSだと皆さん単語とかも苦戦するんじゃないかなぁ、とかいう学校さんがPROGRESSをお使いになっているというのは何度か経験しています。
それについては生徒さんに頑張ろうとか言うしかないかな、というのが実情です…
もう一つが、先ほど申し上げました取捨選択をされている学校です。
練習の方とかは取捨選択するんだけど、単語だけは全部という学校も結構あります。
そうすると、授業で扱っていない、あるいは宿題とかでもやっていない、出てきていない単語をPROGRESSの扱っていない所に出てくるからといって単語だけ覚えるというものがあります。
文がなく単語だけいきなりポンって出されても中々覚えにくいと思います。
その場合はちょっと時間は掛かりますが、家で勉強する時にその単語が出てくる文、学校の授業で扱わなかった、宿題にもならなかったとしても自分で勉強する方が却って単語を覚えるのが早いんじゃないかなと思います。
夏井:ありがとうございます。
恐らくその関連だと思うんですが、単語数が多い、知らない単語が多い状態というので、文章を読まなきゃいけないシチュエーションがあるとします。
明日この授業だから予習をしようって時に出来れば単語を調べて、可能であれば和訳も作りたい場合まず単語が多いから調べるのに時間掛かるし、英文も難しいから訳せないみたいな事が起きるというお悩みがあるそうです。これについてはどう対処したらいいんでしょうか。
甲田:まず一点目ですが、PROGRESSを使う場合とそうでない場合があります。
そういうと語弊があるかも知れませんが、学生に要求されている勉強量、勉強時間がまず違います。
PROGRESSを扱っているというだけで、まず英語の勉強時間が長くなります。
もちろん学校の授業のコマ数もPROGRESSを使っている学校は他の学校より週あたりのコマ数が多い傾向にあります。それだけではなく、家での英語の学習時間も他の生徒さんに比べて多いです。
それは覚悟を決めて生徒さんも望むべきかなと思います。
例外もなくはないですが、多くの場合このPROGRESSを使って進めていける学校に自分は来ているんだ、このPROGRESSを使ったらもう皆理解出来なくてぼろぼろになっちゃうという中学高校もある訳です。
だからそうでない中学高校、恐らくPROGRESSを使っている場合は中学受験で結構レベルの高い中高一貫校に行ってらっしゃると思います。
なので、そういう中学高校に受かって通っているんだ、というのを誇りにもって、PROGRESSでやる分さらに差をつけられるぞ、という気持ちでいて欲しいと思います。
英語に使う勉強時間のバランス
夏井:その時間の兼ね合いでいうと、どうしても普段の勉強だったりあるいは大学受験を目指した勉強だったり、内部進学で中学校から高校、高校から大学というケースも当然あるとは思います。
その中で、どうしても勉強時間の中の英語のパーセンテージが上がっていく傾向があるという中で、逆に他教科がぼろぼろになってしまうみたいな所もあったりします。
そう考えると、そのトータルのバランスで英語に割く時間というのがある程度制約されるという事があると思うんですが、その制約された中でどう勉強を進めていったらいいんだろう、というのが多分その次にぶつかる悩みになると思います。そこら辺はどうですか?
甲田:まず、先ほどPROGRESSを使っていると英語の勉強時間が増えるといいましたが、
例えば英語の勉強時間が生徒さんにもよりますが、1時間増えると思った場合、トータルの勉強時間も1時間を増やします。
他の科目の授業を削るのではなく、PROGRESSだから英語の勉強時間が増える分全体の勉強時間も増やしましょう。まずそれが原則だと思って下さい。
他の科目を犠牲にしてはいけません。
ただもう一つですが、特に中学の間です。中学の間の英語の勉強時間を増やします。
ちょっとこれからいう事は語弊があるかも知れませんが、いわゆる文部科学省の検定教科書の中学英語というのは今親御さんたちが見てこれ漫画の本ですかとびっくりして目を見張る方もいらっしゃるくらい絵の方がメインで文の方がメインじゃないというものになっています。
それで言いますと英語に限らないですが、例えば今の若者は活字離れと言って漫画なら読めるけど活字しかない本は読めないとか、いや、私の教えていた生徒でも漫画しか読めないだったらまだいいけど、手塚さんはセリフ多過ぎて無理とかありました。
もちろんその人がPROGRESSをやるのは無理です。
ですので、そのあたりがクリア出来ているという事を前提にPROGRESSに取り組まなければならないです。そうすると、実は国語の時間、古文とかは置いておきます。
国語の時間は、他の方より少ないはずなんです。
今の大学入試向けでもなんか日本語の語彙、今の若者はあんまり日本語の語彙が少ないので、新聞とかに載っているこういう言葉、こんな意味だよとか、例えばあの忘れるという言葉を知っていても、失念すると言われたら何それ?とかなっちゃうような人向けの本とかが売っているくらいです。
PROGRESSを使っていらっしゃる学校に通っている生徒さんならその辺の日本語はおそらくある程度は出来ているはずです。
数学は削らないで欲しいですが国語はちょっと削って英語に回せるんじゃないかなと思います。
しかも英語が苦手な方はそもそも国語がちゃんと出来てないです。母語が出来ない人がそうでない言葉を勉強しようと思ってもやっぱり中々うまくいかない所があります。
なので、お答えとしてはまずは基本的にはPROGRESSだから英語の勉強時間が増えたからといって他の科目を削らない。
ただし、言語能力という意味で、国語の勉強は検定教科書の方に比べたら少なくて済むはずです。
その分を英語に回せるはずです。
しかも国語を英語に回せるんじゃなくて基本の部分が出来ているから積み上げる方をやれるという
イメージで捉えて欲しいと思います。
最後に、先ほどのご質問で大学受験に向けて他の科目を削れないとおっしゃっていましたが、
中高一貫校の方は特にそうですが、大学受験から6年間逆算して考えるべきです。
例えば、文系や理系を決めるのは高1から高2になる時とかが多いです。
もっと前から自分は文系だと、私なんか小学校の頃から自分は絶対文系だとか決めていましたがそういう方は少ないですし、逆に決めていても変わっちゃう方もいます。
そうすると、あれ?数学が必要なの?それとも日本史の資料を読めなきゃいけないの?とか、そのあたり中学の間はまだ分からない訳です。
だけど文系理系に関わらずある程度以上の大学にいこうとしたら英語は絶対試験科目です。
英語だけは絶対あるんです。
だから中学の間に先に英語の勉強を進めておきます。
高1ぐらいまでちょっと英語に偏ってもいいじゃないかなと思います。
もちろんそれで数学か分からなくなったら問題です。
だから数学をそんなに削らないで欲しいとは申し上げましたけども、英語を進めておいて高2、高3になった時に自分は数学の最後の難しい数Ⅲまで必要だ、しかも物理と化学も必要だ、となるのは理系の方です。
よく文系の方で日本史の細かい所まで覚えなきゃ、ペリーが乗っていた船の名前はなんだ?それまで覚えなきゃダメだ、という時に英語は今まで積み重ねてきたから逆に高3ぐらいになって英語をちょっと削ってそっちに回しても大丈夫だ、となるように積み重ねていって欲しいです。
なので、受験勉強というのは直前の1年2年だけではなく、中高一貫に通っていらっしゃる方なら学校さんの方で6年逆算したカリキュラムをお組みだと思いますが、それが早いからとか言わずに英語を貯金しておきましょう。
あとでその貯金を他の科目に使えるように、というふうに勉強していって欲しいと思います。
開講講座
当塾の開講講座は【教室】【オンライン】どちらでも受講可能です。