【PROGRESS IN ENGLISH 21 完全攻略】はじめに

PROGRESS IN ENGLISH 21の特徴とは?

夏井(中学受験専門夏井算数塾代表):本日は宜しくお願いいたします。
甲田(英語教室サポート 代表):宜しくお願いします。
夏井:という事で今回ですが、まずはPROGRESS IN ENGLISHという中学生・高校生向けの英語の教科書についてです。他にも色んな教科書があると思いますが、このプログレスという教科書が一番特徴としている事は一体何でしょうか?
甲田:プログレスですが、まずは英語の総合力を身に付けよう、という感じで編集されています。元々は著者のロバート・フリンという人が広島の方の進学校で英語の授業をしていた時にお作りになったプリントを教科書化したものです。
元々PROGRESS IN ENGLISHというテキストがありまして、ちょうど2000年前後にPROGRESS IN ENGLISH 21というものが作られました。最初にフリンさんがプリントとしてお作りになった時の中学・高校がかなりの進学校でレベルが高かったんです。
フリンさんがそのあと別の学校に行かれた時に、そのプリントでは難し過ぎてちょっと易しくなさったそうです。ところが、それを色んな学校で使うようになりました。
色んな学校といってもフリンさん自体がカトリックの方だと思うので、初めのうちはカトリックのミッションスクールでいっぱい採用されました。言葉は悪いですが、ミッションスクールといってもレベルが上から下まで色々あります。なのに、色んな高校で同じようにこのプログレスを使ってしまいました。それで学校によっては生徒さんが皆プログレスについていけていないのに、そのままプログレスを使い続けるなんて事もありました。
私も若い頃そういう学校の子を教えていまして、その子は全然英語出来なく、プログレスがいまいち理解出来てなくて、というので細かく教えたんですが、その子は私が教える前に英語の成績学年2位だったんです。という事は、皆プログレスが分かってないという事になると思いました。
実は上位の学校でもちょっとプログレスは難しいぞ、という声が大きくなって、それでもうちょっと易しくしたものを作ろうといって作られたのがPROGRESS IN ENGLISH 21です。
このプログレスですが、元々進学校で使っていたとは言いますが、進学校といってもキリスト教の学校の場合、私の出身校もそうですが、あまり大学受験大学受験とやらない学校が多いです。なので、このプログレスは大学受験の勉強向きかというとそうではない部分が結構あります。
例えば、このプログレスの中に出てくる読解の文ですが、Book1はグリム童話から取っているのが大半です。Book2はアメリカの言語や文化、歴史、社会とかです。Book3はイギリスの歴史、文化、社会、こういったものが主になっています。
もちろん英語というのはそもそもイギリス語ですし、アメリカで使っているから日本で英語を勉強する訳です。なので、英語をちゃんと理解しようと思ったらアメリカ人イギリス人の考え方が分かっていないとダメな訳です。ただ、中1にはまだそれは難しいので、まずグリム童話です。
非常に順番としていいとは思うんですが、大学入試の英文はそうではなく学術論文が出る訳です。Book4、5、6と進んでいきますと、英語の論文の書き方とかいうのも一応出てきますが、大学入試の英文読解にはあまり向いてないかなという所があります。
特にこれは中高一貫校で採用されていますが、中学の間はプログレスを使って、大学受験を意識する高校からは例えばニュートレジャーとかそういう別のものに変える事もあります。あるいはプログレスを止めてニュートレジャーとかその他のテキストに変わってしまった学校も結構あります。ちょっと昔に比べたら使っている学校は少ないです。
私の感想としては、私は中高6年間ずっと21のプロレスの方でしたが、英語の総合力を付けるには凄くいいテキストだなと思いました。ただし、大学受験の英文読解という面ではちょっと対応しきれない部分があります。私としては、プログレスと大学入試の勉強を同時にやったら本当の総合力が付くんじゃないかと思っています。従って、中高6年間プログレスという方も大学入試の勉強出来ないのかな?とか心配しないで下さい。
プログレスを使えば英語の総合力が付きます。大学入試英語だろうがなんだろうが基礎は同じです。ですから、その基礎の所をしっかり頭に入れて欲しいと思います。

夏井:ちなみにですが、このプログレスは塾屋さんの業界でいうと、そもそも教科書が難しいし、教えられる先生もいないという事が巷で聞かれる話であります。
私は若干懐疑的な部分があったりするんですが、どの辺が難しいですか?
甲田:実は私今まで大手予備校も含めまして、プログレスのクラスがある時は必ず私に回されていました。なぜかというと、中高6年間プログレスだったからです。逆に私は中高6年間ずっとプログレスだったので、これが普通になっているんです。だから、どこが難しいか今ひとつ分からないんです。
ですが、実際に色んな所で聞いていると、初めてこれを見た英語の先生が授業をするとなんかうまくいかない、私がやってみると解決した、良かったですと言って頂ける事が多かったです。逆にもうどこがおかしいのか、という事は私の方では考えないようにしていました。ただ、難しい難しいと他の英語の先生から相談されたりもするんですが、どこが?と言われても、というのはあります。
ただ一つ言えるのが、レッスンごとの量が凄く多いです。
それに対して、例えばBook1は中学一年生用です。もちろん公立中学の生徒さんも私は教えていますが、今の中学一年生の検定教科書を新しく中学生になるお子さんのお父様お母様に中学の英語の教科書こんなのです、と見せた時の反応で、教科書を見ているのに教科書はどれですか?と時々聞かれます。いや、これですよ、と言ったら、こんな漫画みたいなの教科書のはずないでしょう、と言われる事があります。今の教科書は本当に英文より絵とかの方がメインになっていまして、それに比べたらやっぱり結構文字がぎっしりと埋まっています。ここの違いで、塾や予備校さんによってはカリキュラムがきっちり決まっています。ところが、そのカリキュラムを決めている人も、プログレスをよく分かっていないんです。なので、いやこの時間で終わんないでしょ、という時間設定になっている事が多いです。一つは、それかなと思います。だったらもう取捨選択をするしかない訳ですが、じゃあどう取捨選択をするのかというのがやっぱり使った事ない方だと中々うまくいかないです。それに対して私の方は、例えばこれ後ろのチャートを見ながら色々英文を作っていくというコーナーがあったりしますが、どうしても扱えという場合以外は時間がある時だけ扱います。あとは自分で練習しておきなさいとか、その辺の取捨選択が中々初めて見る先生は分かりにくいのかな、という所があります。

プログレスは教わるのも教えるのも難しい?

夏井:なるほど。実は数年前ですが、私このプログレスで一瞬授業をするはめになった事がありました。
ぱっと見た感じ、とりあえず文法事項がこんなふうに並んでいて、そのあとでじゃあ練習しよう、という事を通常授業しようとした時に、練習の仕方が分からなかったんです。なにをしよう、となりました。私は元々、算数・数学屋さんなので、例えば例題があって、そこからじゃあこの類題みたいなものを解いていきましょう、というスタイルで授業をしていこうと思うんですが、これだとにっちもさっちもいきませんでした。
教科書を教えるという事ではないと思うんですが、練習するというのが結構難しいテキストだな、というイメージを私はもったんですがどうでしょうか?
甲田:確かにそういう声を他の先生からも何度か聞いた事あります。ですが私から見ると逆にここが練習でしょ、となります。これをそのまま練習すればいいんですよ、なんて他の英語の先生に言ってもそれがどうもいまいち、という事をおっしゃられる事が多いです。そこをどうアドバイスしていいか結構迷っていました。
今数学によくある例題と類題というその例えを聞いて、そういう事だったのか、と閃いたんですが、ここが例題なんです。これが類題と考えるべきなんですが
例えば数学の例題と類題とかだと本当に数字が違う以外ほぼ一緒だと思うんですが、それがほぼ一緒に見えないという事なんじゃないかな?と思います。先ほど申し上げましたように、これは中高一貫校の中でも上位レベルです。特に21が付いてなかったらもっとそうです。上位レベル向けのテキストなので、これを例題類題としてやっていける生徒さんが前提な訳です。
そうでない生徒さんの場合は、こことここの間の段階、例えばこれをやったら次これが例題にあたるものです。例題にあたるものを英語の教師の方で作ってあげて、それでこれをやるとかをしなきゃいけないんじゃないかなと思います。
大手の予備校さんの場合もカリキュラム通りこなす事に追われるので、それに他の事を加えていたらますます終わらない、というので無理やりここからここにいこうとしてうまくいかない先生がいらっしゃるのかなと今の話を聞いて思いました。
夏井:なるほど。そうですね。どうしても練習に網羅性を持たせたいと思う訳じゃないですか。
ある程度一通りの事が学習出来るような問題設定をしておこうという発想でこのテキストは選ばれるんですが、その発想でいくと、ん?足りなくないか?と思う瞬間はあったりしますか?
甲田:お言葉ですが私は逆でして、例えば高校受験ですと色んな塾で新中学問題集というのをよく使います。数学の先生皆がいいとおっしゃるんですが、英語の方では評価が分かれるんです。なぜ評価が分かれるかというと、同じ文法の反復練習が出来ないんです。あれはあるレッスンでの中でも、例えば受動態なら受動態で勉強する事がいくつかある訳じゃないんですか。
ところが、受動態の中の勉強する事が一項目につき一題しかないんです。だから塾によっては生徒さんがあんまり勉強しない生徒さんのクラスとかをもつと、テストで新中問と全く同じ問題を出すと皆正解出来るのに、例題類代の様に単語を変えるとなんの問題か分かんなくなって出来なくなります。
これに対してプログレスは、例えばこの後ろのチャートを使って同じ文について色々この絵を見ながら単語を組み替えて、これだったら6種類同じ文法の文を作れる訳です。だから、私はプロレスの方が反復練習出来ていいのになぁと、ずっとそういう感想だったんですが、英語の教師仲間の多数派の意見が今のご質問の意見と同じです。私は少数派です。それはもう現実そうです。
だけど私の方は中高6年間プログレスだったので、こうやって反復練習するものという感覚です。多分、Book1の始めの方の段階の例題から類題の所ですが、Lookを読んで次SpeakとかPracticeの所が例題と類題という感覚をもてたらずっとそのあとまで走れると思います。最初でつまずいた方がもうずっとBook2、3にいってもなんかここからここが飛躍しているみたいで、という感想をおもちのままなんじゃないかと思います。
その辺で困っていらっしゃる方はぜひ私の塾に来て頂ければと思います。
夏井:ありがとうございます。では次回以降各レッスンごとにどういった注意ポイントがあるのか、について順次お話を伺えればと思います。
本日はありがとうございました。
甲田:ありがとうございました。

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