PROGRESS IN ENGLISH 21(プログレス21)とは?特徴・難易度・使いこなし方を徹底解説

 



すぐ確認:名称の揺れ/採用校の確認/学習の優先順位(1分)

結論:検索語は呼び方が揺れるだけなので、まず「PROGRESS IN ENGLISH 21(プログレス21)」に統一し、採用校は学校配布の教科書案内・シラバス・配布プリントで確認。学習はプログレスで土台(総合力)を作りつつ、大学入試の形式対策は別建てで分けて進めます。

検索語(よくある呼び方) ここではこう呼ぶ ページ内の該当観点 まず読む場所
プログレスインイングリッシュ プログレス(21) 教科書の背景/どんな教材か 次の章「特徴」→「開発の背景」
progress in english PROGRESS IN ENGLISH 改訂の流れ(旧版→21) 「開発の背景と改訂」
プログレス21 PROGRESS IN ENGLISH 21 「難しい」と言われる理由(原因) 後半「原因」の章
PROGRESS IN ENGLISH 21 PROGRESS IN ENGLISH 21 大学入試との相性/限界(位置づけ) 「大学入試英語との関係」
progress in english 21 採用校 採用の確認 採用が広がった背景/レベル差が難化につながる点 「採用が広がった理由」

困りごと別:まずやること(迷わない3本)

  • 「難しい/ついていけない」→ 先に「難しい理由(原因)」の章で、どこで詰まりやすいかを特定する。
  • 「大学受験が不安」→ 「大学入試との関係」の節で、プログレスで作る力と、別に慣れるべき形式を切り分ける。
  • 「進め方が分からない」→ 「使いこなし方(対処法)」の章で、土台づくりの手順を先に固定する。

「採用校」を調べたい人へ(特定校は列挙しません)

  • 確認する場所:学校配布の教科書案内/年度初めのシラバス/英語科の配布プリント(教科書名・Book番号が載る所)。
  • 背景(ここで押さえる範囲):中高一貫で採用が多く、ミッションスクールを中心に採用が広がった一方で、学校のレベル幅が大きいことが「難しすぎる」の評価につながりやすい。

このあと本文で、背景→難易度(原因)→大学入試との関係→使いこなし方の順に確認できます。

PROGRESS IN ENGLISH 21はどんな教科書か?その特徴と向き合い方

中高一貫校を中心に採用されてきた英語教科書「PROGRESS IN ENGLISH(プログレス)」
現在では改訂版の「PROGRESS IN ENGLISH 21」も広く使われていますが、
「レベルが高すぎて生徒がついていけない」「教える先生側も難しい」といった声も少なくありません。

一方で、英語の総合力を育てるには非常に優れたテキストであることも事実です。
このページでは、対談内容をもとに

  • プログレス/プログレス21が作られた背景
  • 大学受験との相性とその限界
  • 「難しい」と言われる理由(原因)
  • 実際にどう使いこなせばよいか(対処法)

を整理し、保護者・生徒・指導者それぞれが、プログレスとどう付き合えばよいかを解説していきます。

PROGRESS IN ENGLISH 21の特徴とは?

開発の背景と改訂の経緯

プログレスは、もともとロバート・フリン氏が広島の進学校で英語を教えていた際に作成していたプリント教材がもとになっています。
その後、そのプリントが教科書化され「PROGRESS IN ENGLISH」となり、さらに2000年前後に「PROGRESS IN ENGLISH 21」として改訂されました。

当初フリン氏が授業していた学校はかなりレベルの高い進学校でした。
そのため、元のプリントは非常に難度が高く、後に別の学校で授業をする際、

「このプリントでは難しすぎる」

と感じたフリン氏が、難度を少し下げて作り直したという経緯があります。
それでもなお、一般的な教科書と比べると十分「ハイレベル」な構成になっています。

ミッションスクールを中心に広く採用された理由

フリン氏がカトリックであったこともあり、プログレスはカトリック系のミッションスクールを中心に採用が広がりました。

ただし、ミッションスクールといっても

  • トップレベルの進学校
  • 中堅~やや下位レベルの学校

まで幅があり、同じ教科書を幅広いレベルの学校が一斉に採用したことが、後の「難しすぎる」という評価にもつながっています。

「その子は私が教える前に英語の成績が学年2位だったんです。
ということは、『学年2位でもプログレスが分かっていない』ということになると思いました。」

このエピソードが象徴するように、学校全体としてプログレスのレベルに十分対応できていないケースも少なくありませんでした。

読解素材の特徴と構成

プログレスに登場する読解素材は、大学入試の「論説文」とはやや性質が異なります。

  • Book1:グリム童話が中心
  • Book2:アメリカの言語・文化・歴史・社会
  • Book3:イギリスの歴史・文化・社会
  • Book4〜6:英語の論文の書き方など、高度な内容も登場

英語はもともとイギリスの言語であり、アメリカ・イギリスの文化や考え方を理解することは「英語の総合力」には非常に重要です。
その意味で、プログレスの素材は

  • 言語としての英語
  • 英語圏の文化・歴史・社会背景

をセットで学べるように工夫されています。

大学入試英語との関係

一方で、大学入試の英文は学術論文系の論説文が中心です。
プログレスもBook4以降では論文の書き方に触れますが、

「大学入試の英文読解にはあまり向いていないかな」

という側面があることも否めません。

そのため実際の現場では、

  • 中学の間はプログレスで基礎と総合力を養う
  • 高校からはNew Treasure などの別テキストに切り替え、入試対応を強化する
  • あるいは、途中でプログレスから他の検定教科書・問題集に変更する

といったカリキュラムを組む学校も増えています。

それでもプログレスが「英語の総合力」に優れている理由

筆者(講師)自身は中高6年間ずっとPROGRESS IN ENGLISH 21で学んだ経験から、

「英語の総合力を付けるにはすごくいいテキスト」

と評価しています。

  • 文法・語彙・読解・表現がバランスよく配置されている
  • 英語圏の文化・歴史・社会に自然と触れられる
  • 「読む・書く・話す・聞く」を一体的に扱う構成になっている

つまり、大学入試英語そのものの「過去問対策テキスト」ではない一方で、
土台となる英語力をしっかり作るには非常に優れた教材だと言えます。

そのため、

  • プログレスで土台・総合力を養う
  • 別教材や過去問で大学入試への「形式」や「傾向」に慣れる

という二本立ての学習が理想的だと考えられます。

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なぜ「プログレスは難しい」と言われるのか(原因)

レッスンごとの分量が圧倒的に多い

プログレスが「難しい」と言われる大きな理由の一つは、1レッスンあたりの分量の多さです。

「ただ一つ言えるのが、レッスンごとの量がすごく多いです。」

現在の公立中学の検定教科書は、イラストや写真が大きく、英文量が少ない構成のものも多く、
保護者の方から

「こんなマンガみたいなの、教科書のはずないでしょう」

と言われるほどです。

それに比べてプログレスは、ページ全体に英文がぎっしりと詰まっており、
初めて見ると「圧倒される」ような印象を受ける人も多いでしょう。

カリキュラム側がプログレスを理解していないケース

さらに問題なのは、塾や予備校などでカリキュラムを作る側がプログレスを十分理解していない場合です。

「この範囲を◯時間で終わらせる」といった計画自体が、

「いや、この時間では終わらないでしょう」

という非現実的な設定になっていることもあります。

本来は、

  • レッスン内でも取捨選択をする
  • チャートや練習問題の一部は自習用に回す

といった工夫が必要ですが、プログレス経験がない指導者にとっては、その見極めが難しくなりがちです。

「練習の仕方」が見えにくいテキスト構成

数学の教材であれば、

  • 例題
  • ➡ 類題・演習問題

という構成がはっきりしていることが多いですが、プログレスの場合、

「文法事項の説明のあと、どこからどこまでを『例題』『類題』として扱えばよいのか分かりにくい」

と感じる先生も多いようです。

これに対し、プログレスで育った講師の感覚では、

  • Look:モデル例文・例題
  • Speak / Practice:パターンを変えた類題・反復練習

という「例題・類題」のセットとして自然に見えていることが多く、この感覚の差が「扱いにくさ」にもつながっています。

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「例題と類題」の間を埋めるステップが必要な生徒も多い

プログレスはもともと上位レベルの中高一貫校向けに作られたテキストです。
そのため、

  • Look → Speak / Practice の間を自力で橋渡しできる生徒

を前提として設計されている部分があります。

しかし現実には、

  • 「Lookの内容は分かるが、自分で類題を作るのは難しい」
  • 「パターンの変化に対応できない」

という生徒も多く、その場合は

  • 教師側が中間ステップとなる「例題」を自作する
  • そこから徐々にプログレスの類題へと進めていく

といった工夫が必要になります。

反復練習の「設計思想」が見えないと評価が割れる

高校受験レベルでは、多くの塾で「新中学問題集」などが使われますが、

  • 数学の先生からは高評価
  • 英語の先生からは賛否両論

という構図もあります。

理由の一つは、同じ文法事項を反復できる問題数が少ないことです。
ある文法について「1項目につき1題しかない」ケースもあり、

  • 教科書と全く同じ問題なら解ける
  • 単語を変えた瞬間に「何の文法か分からなくなる」

ということが起こりがちです。

対してプログレスは、

  • 後ろのチャートを使って、同じ文法事項で6種類以上の文を作れる
  • 絵や例文を手がかりに、単語を入れ替えながら同一パターンを何度も反復できる

という意味で、工夫次第でかなりの反復練習が可能なテキストです。

しかし、この「反復前提の設計」を読み取れているかどうかで、
教師側の評価が

  • 「とても良い教材」
  • 「網羅性が足りず、使いにくい教材」

に分かれてしまうのも現状です。

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プログレスを使いこなすためのポイント(対処)

指導者側の工夫:取捨選択と「中間問題」の自作

プログレスを授業で扱う際、指導者側に求められるポイントは次の通りです。

  • すべてを完璧にやろうとしない(取捨選択が前提)
    • チャートや一部の練習問題は「時間があるときだけ扱う」
    • 基本パターンを優先し、応用部分は自習用に回すなどの設計が必要
  • Look → Speak / Practice を「例題 → 類題」として明示する
    • 生徒には「ここが見本文(例題)、ここから先が自分でやる類題」とはっきり示す
  • レベルに応じて「中間ステップ」を教師が作る
    • Lookだけでは飛躍が大きい場合、教師が一段階やさしい例題を用意する
    • 徐々にプログレス本体の問題へつなぎ、最終的に自力で回せる状態を目指す

生徒・保護者側の視点:プログレス=「総合力の土台」と割り切る

生徒・保護者の方に伝えておきたいのは、

  • プログレスだけでは大学入試の「形式」には完全対応しきれない部分がある
  • しかし英語の総合力・基礎力を付けるには非常に良いテキストである

という二面性です。

したがって、

  • プログレス+入試対策用教材の併用を前提に考える
  • 「プログレスをやっているから大学入試に不利なのでは?」と必要以上に不安にならない
  • むしろプログレスで培った基礎の上に、過去問演習などを積み上げるという発想を持つ

ことが大切です。

困ったら「プログレス経験者」に相談するのも一つの手

プログレスは、教わる側だけでなく教える側にとっても難しい教科書です。
もし学校や塾で、

  • 授業のペースが速すぎる
  • 練習の仕方が分からないまま進んでいる

と感じる場合は、プログレスに通じた指導者に相談することも有効です。

対談の最後でも、

「その辺で困っていらっしゃる方は、ぜひ私の塾に来て頂ければと思います。」

と語られているように、教材の「クセ」を理解した指導者の存在は、生徒にとって大きな支えになります。

まとめ:プログレスを「敵」にせず、「総合力の味方」にする

  • PROGRESS IN ENGLISH / PROGRESS IN ENGLISH 21は、進学校向けに作られたハイレベルな総合英語テキストである。
  • 読解素材はグリム童話やアメリカ・イギリスの文化・歴史などで、大学入試の論説文とは性質が異なる一方、英語の背景知識を学ぶには優れている。
  • レッスンごとの分量が多く、カリキュラム設計や取捨選択が難しいため、「教えるのも教わるのも難しい」という声が出やすい。
  • しかし、チャートや練習を工夫すれば同一文法を反復練習できる設計になっており、英語の総合力養成には非常に有効である。
  • 指導者はLook → Speak / Practice を例題・類題として捉え、中間ステップを自作することで、生徒のレベルに合った授業を組み立てられる。
  • 生徒・保護者は、プログレスを「基礎力・総合力の土台」、別教材を「入試形式への対応」と位置づけ、二本立てで学習するのが理想的。

プログレスは、表面的な「難しさ」だけを見ると敬遠されがちな教材ですが、
適切な使い方とサポートさえあれば、英語の総合力を伸ばす強力な味方になります。
もし今、プログレスでつまずいているとしても、「教材が悪い」と決めつける前に、使い方とサポート体制を見直してみてください。

 

今さら聞けない?英語の基礎

今さら聞けない英語の基礎を解説いたします。youtubeにて解説動画もアップしています。