例文は解けるのに初見問題になると何の文法か分からない人へ|「例文依存」から抜ける練習法
例文は解けるのに初見問題になると何の文法か分からない人へ|文法を見分ける練習法
教科書の例文は分かる。授業で説明を受けた直後の問題も解ける。それなのに、テストで単語や場面が少し変わると、「これは何の文法を使う問題だろう」と分からなくなる。
この状態では、文法をまったく理解していないとは限りません。問題になるのは、例文そのものは覚えていても、その英文のどこを見れば同じ文法だと判断できるのかが整理されていないことです。
例文をそのまま覚えるだけでは、この差は埋まりにくいものです。単語を変え、主語を変え、時制を変え、それでも同じ構造だと分かるか。さらに、初めて見る文でも「何を見て判断したのか」を説明できるか。そこまで見ると、どこから知識を使えなくなっているのかが分かってきます。
「例文なら解ける」という結果だけでなく、例文の中で何が入れ替わってよい部分で、何が文法上の判断材料なのかを分けて見られているかを考えます。
例文ができるのに初見で文法が分からなくなる理由
授業中は解けていたのに、定期テストになると急にできなくなる。このようなとき、「問題演習が足りなかった」「もっと問題数をこなした方がよい」と考えることがあります。
しかし、同じことが繰り返されているなら、問題数を増やす前に見たいことがあります。
それは、問題を解くときに何を手がかりに文法を選んでいるかです。
教科書で見た英文とほとんど同じ単語・同じ語順なら解けるのに、単語を一つ変えた瞬間に「何の文法か分からなくなる」のであれば、文法の仕組みよりも例文の見た目を手がかりにしている可能性があります。
英語の例文には、文法を考えるうえで重要な部分と、その例文でたまたま使われている語句があります。この二つを分けないまま覚えると、英文全体を一枚の絵のように記憶することになります。
すると、見た目が少し変わっただけで、習った文法と結びつかなくなります。この記事では便宜上、このように例文そのものの見た目に頼っている状態を「例文依存」と呼びますが、大切なのは呼び方ではなく、例文から離れても同じ文法だと分かるかです。
こんな状態が続くなら、例文の覚え方を見直します
- 教科書と同じ例文なら答えられる
- 穴埋めの位置まで似ていれば解ける
- 授業直後の練習問題では正解できる
- 単語が変わると、使う文法が分からなくなる
- 主語が I から he や they に変わると判断できなくなる
- 現在形から過去形になると、別の問題に見える
- 答えは合っていても「なぜその形にしたのか」を説明できない
この場合、新しい文法事項をさらに覚える前に、すでに習った例文を分解し、どこを見てその文法だと考えるのかを整理し直します。
PROGRESSのように見本となる内容から練習へ進んでいく教材でも、見本を見たあと、そのまま次の練習へ移れば全員が自力で処理できるとは限りません。見本と問題の間に、語句を少し変えた問題などの中間段階が必要になることがあります。
教材全体の特徴や、見本から練習へ進むときの考え方については、PROGRESS IN ENGLISH 21の特徴と復習の進め方でも整理しています。
覚えているのは文法か、例文そのものか
例文を覚えること自体が悪いわけではありません。基本となる英文を繰り返し声に出したり、書いたりすることも必要です。
ただし、「例文を覚えた」と「その文法を使える」は同じではありません。
見たいのは、例文をそのまま再現できるかではなく、例文の形を少し変えても、同じ仕組みを使えるかです。
ここで大切なのが、英文を訳だけで見ないことです。
日本語訳が分かれば、文の意味は理解できます。しかし、初見問題で文法を選ぶには、意味だけでなく英文の構造を見る必要があります。
主語はどこか。動詞はどれか。その語は何詞か。動詞の後ろには何が置かれているか。文のどこが変わり、どこが同じなのか。文法問題では、こうした構造を先に見ます。
ある文法を習った直後なら、その単元で習った文法を使うことは予想できます。
ところがテストでは、問題の横に単元名は書かれていません。すでに習った文法の中から、自分で使うものを選ばなければなりません。
そのとき必要なのは、「この例文を見たことがある」という記憶だけではなく、この文のここを見たから、この形を使うという判断です。
正解していても、根拠が言えるかを見る
正解したかどうかだけで理解度を決めないことも大切です。
選択問題なら、見覚えのある形を選んで正解することがあります。並べ替え問題でも、教科書例文の語順を覚えていれば再現できる場合があります。
そこで、答えが合ったあとにもう一つ聞きます。
「何を見て、この答えだと考えたの?」
問題文の具体的な部分を指して説明できるなら、文法上の手がかりが見えています。
一方で、「授業でやったから」「なんとなくこの形だった」「この単語があったから」という答えであれば、その単語が本当に判断材料なのかを整理する必要があります。
単語を変えても同じ文法だと分かるか
例文の見た目に頼っていないかを見るとき、いきなり難しい初見問題を大量に解く必要はありません。
まずは、元の例文の構造を大きく変えず、単語だけを入れ替えます。
そうすると、新しい語彙や複雑な文に気を取られず、「見た目が変わっても同じ仕組みだと分かるか」を見やすくなります。
ここでは、特定の文法事項を詳しく説明するためではなく、文を少しずつ変えたときに、どこを見るのかを分かりやすくするため、あえて短い英文で考えます。
文を変えたときに、見る場所を考える例
I play tennis every day.
I study English every day.
He studies English every day.
He studied English yesterday.
ここでの目的は、現在形や三人称単数、過去形そのものを説明することでも、この4文を覚えることでもありません。
見たいのは、文の一部を変えたとき、どこを見れば形を変える必要があると分かるのかです。
最初の2文なら、主語はどちらも I で、動詞の位置も変わっていません。play が study に変わっても、文の骨組みそのものは大きく変わっていません。
次に主語を He にすると、動詞の形にも注意が必要になります。さらに yesterday が入り、過去の文になれば、時制に合わせて動詞を変える必要があります。
このとき聞きたいのは、「studies や studied を覚えているか」だけではありません。
「どこが変わったから、動詞の形も変えたの?」
主語が変わったことを見たのか。時を表す語を見たのか。動詞が文のどこにあるか分かっているのか。
このように、単語を少しずつ入れ替えながら、答えではなく判断の根拠を言えるかを見ると、例文そのものを覚えているだけなのか、構造を見られているのかが分かります。
家庭でもできる見直し方
- 教科書やノートから、習った文法の例文を一つ選ぶ
- 主語と動詞を見つける
- 文法を考えるときに必要な部分を見る
- 名詞や動詞などを一つだけ別の語に変える
- 変更後も同じ文法を使える理由を説明する
単語を変えただけで急に分からなくなるなら、すぐに難しい初見問題へ進まず、この段階を反復します。
同じ例文をそのまま何度も解くより、パターンを少し変えた類題で、同じ見方ができるかを繰り返す方が、このタイプのつまずきには合っています。
実際の単元で、例文を「形の暗記」ではなく文の並びとしてどう見るかを考える場合は、PROGRESS Book2 Lesson3 Scene1の単元解説も一つの具体例になります。
主語・時制を変えても文の構造を追えるか
単語を少し変えても分かるようになったら、次は主語を変えます。
I で覚えた英文を he にする。単数の主語を複数にする。人を表す名詞を別の名詞にする。
すると、今習っている文法だけでなく、それ以前に学習した主語と動詞の関係が必要になることがあります。
新しい文法事項そのものは理解できていても、主語と動詞の関係、be動詞と一般動詞、三人称単数、過去形などが曖昧だと、例文を変形したところで正しい形を作れなくなります。その場合は、必要なところまで戻ります。
英語でつまずいたとき、現在の授業範囲だけを何度もやり直しても改善しないことがあります。
たとえば、時制を変えた問題で同じような間違いが続くなら、「今回はケアレスミスだった」で終わらせません。現在形と過去形を何で見分けているのか、動詞をどう変えるのかまで戻ります。
一度だけの書き間違いなら、単純なミスということもあります。しかし、パターンを変えても同じところで間違えるなら、理解や定着が十分ではない可能性があります。
例文から初見問題まで、一段ずつ条件を変える
例文とまったく同じ問題から、いきなり総合的な初見問題へ移る必要はありません。
- 例文を理解する
主語・動詞などの構造と、文法上の手がかりを見る - 語句の一部を変える
見た目が変わっても同じ仕組みだと分かるかを見る - 主語を変える
主語と動詞の関係まで使えているかを見る - 時制を変える
現在・過去などが変わっても文の骨組みを追えるかを見る - 初見の類題へ進む
教科書例文と違う文でも、自分で使う文法を選ぶ
単語変更で分からなくなるなら、元の例文との違いを見るところへ戻ります。主語変更から正しく処理できなくなるなら、主語と動詞のルールまで戻ります。
「今はこの単元を習っているから、この単元だけをやる」と決めるのではなく、実際にどこから知識を使えなくなっているのかを逆向きにたどることが大切です。
初見問題では「何を見て判断したか」を言えるか
最後に見たいのが、答えを出した根拠を説明できるかです。
単語や主語を変えた問題で正解できても、答えを選ぶ理由が曖昧なままでは、さらに見た目が変わったときに文法を選べなくなることがあります。
そこで、問題を解いたあとに次のようなことを聞きます。
答えのあとに言えるようにしたいこと
- 主語はどれか
- 動詞はどれか
- どの語・どの形を手がかりにしたか
- その語は何詞として使われているか
- 文の骨組みはどうなっているか
- 元の例文と変わった部分はどこか
- 見た目が違っても同じ文法だと言えるのはなぜか
毎回すべてを長く説明する必要はありません。
重要なのは、「なんとなく」ではなく、英文の中に根拠を置けることです。
日本語の意味が分かることと、英文の構造を認識できることも分けて考えます。訳せたとしても、文法問題で見る場所が分かっているとは限りません。
そのため、文法を考えるときはいったん訳を後回しにし、まず主語・動詞・品詞・文型など、必要な構造を見ます。そのあとで意味を取った方が、「なぜこの形になるのか」を整理しやすくなります。
教科書の例文を見たときだけ分かるのではなく、語句や場面が変わっても同じ構造を見つけ、自分で使う文法を選べることを目指します。
自分で確認できることと、先生が診断すること
家庭で見直すなら、まず教科書の例文を一つ選び、単語だけを変えてみます。それができれば主語、次に時制と、一段ずつ条件を変えていきます。
この方法で、「単語を変えたところから分からない」「主語を変えると動詞の形が合わなくなる」といった位置までは、自分でもある程度見つけられます。
ここまでは、家庭でもできる確認です。
たとえば、主語を変えた問題で正しく答えられなかったとしても、原因が三人称単数だけとは限りません。主語と動詞を正しく取れていない、be動詞と一般動詞の区別が曖昧、品詞を見分けられていないなど、さらに前の内容が関係していることがあります。
つまり、自分で「どの変更からできなくなるか」を見ることはできても、その原因がどの前提ルールにあるのかまで切り分けるのは難しい場合があります。
先生が見る場合は、今やっている単元だけを説明し直すのではありません。
語句を変えた類題、主語を変えた類題、時制を変えた類題とパターンを変えながら、「何を見て答えたのか」を聞きます。
その答え方や間違い方を見て、現在の単元の理解が足りないのか、その前の文法事項まで戻る必要があるのかを考えます。
前提の理解が不足していると分かれば、必要なところまで戻ります。そのうえで、もう一度「例文理解→語句変更→主語変更→時制変更→初見類題」と進みます。
この順番なら、「とにかく問題数を増やす」のではなく、今どこを学び直す必要があるのかを絞りやすくなります。
初見・変形問題で、知っている文法を選べないとき
例文を見れば分かるのに、単語・主語・時制が変わると解けなくなる場合、必要なのは同じ例文をさらに暗記することとは限りません。
どの変更から分からなくなるのかを見て、必要であれば前の内容まで戻りながら、パターンを変えた類題を反復します。そのうえで「何を見て判断したか」を言葉にし、初見でも自分で使う文法を選べる状態へつなげます。
Eng-Supportのブレイクスルーゼミは、このように、覚えた知識を初見問題や変形問題の中で選んで使う段階を整理したいときにつながる講座です。
今の単元だけを繰り返すのではなく、実際にどの段階から考え方が合わなくなるのかを見ながら、必要なところまで戻って整理したい場合は、講座内容をご確認ください。
まとめ|例文を覚えたあとに「変えても分かるか」を見る
教科書の例文や授業直後の問題はできるのに、初見問題になると何の文法か分からない場合、例文の暗記量だけが問題とは限りません。
例文全体の見た目を覚えていて、何が文法上の手がかりなのかを分けて見られていないことがあります。
その場合は、いきなり問題数を増やすのではなく、次の順番で見直します。
- 元の例文で主語・動詞・品詞・文型など、必要な構造を見る
- 何を手がかりにその文法だと考えたのか言葉にする
- 単語だけを変えた類題を解く
- 主語を変える
- 時制を変える
- 最後に初見の類題へ進む
途中から正しく処理できなくなったら、その前に必要な内容まで戻って見直します。今習っている単元だけが原因とは限りません。
例文をそのまま再現できることをゴールにせず、単語や場面が変わっても英文の構造を認識し、自分で使う文法を選べるかまで見ていくことが、初見問題でも文法を判断するための練習になります。
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